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EPISODE

つれづれに

コロナショックとは何か その1

TREND

2020.3.23
中国政府が武漢を封鎖し世界的な新型ウィルス危機であるとしてコロナショックが始まり2ヶ月が経とうとしている。この間、世界各国の都市封鎖や日々の感染者と死亡者の統計数やパンデミック対策などがあらゆるメディアで連日報道されている。米国では感染が加速化し総人口の30%にあたる8600万人の居住する地域が感染拡大阻止の為外出禁止となり経済活動がほぼ停止した状態が続いている。これがあと1ヵ月も続けば企業倒産や失業者が激増する。武漢の先例から都市封鎖は2ヶ月は継続しないとウィルス感染拡大は阻止できないと考えられ、日本も例外ではない。

この大して人を殺さないウィルスの発生原因や感染経路の究明、拡大阻止対策などはその筋の権威と言われている専門家達に任せるとして、私はこのコロナ危機以降に世界がどのような現実に直面するのかを生きる営みの原点である経済の動きについて考察したいと思う。

まず、新型ウィルスの感染拡大を受けた世界経済と国際金融市場はその混乱に歯車がかかった。債券システムの巨大な綻びであるリーマンショックからコロナショックまで各国中銀群が持ち回りで続けた度重なるQEで債券市場を穴埋めし続けた結果、株や銀行間融資、社債や国債などの各金融市場は異常なバブル膨張状態だった。そして救済役を担うはずのそれら中銀群には最終局面で撃つ弾はもう尽きており、国際金融システム全体はいつ崩壊してもおかしくないほど脆弱になっていた。また日本国内で起こっていた株価上昇の99%は日銀がQEを原資として日本株をETFで買い支えていたからであり、その結果、日銀は国内上場企業の70%を保有する大株主となり大企業の多くがすでに国有企業となっている。
一方、国際金融市場の胴元である米国金融市場はさらに市場として機能しておらず、中銀群がどれだけQE資金を注入し買い支えるかによって相場が上下しているだけの話だ。そこに複雑な経済学的数式や市場原理など入り込む余地はない。

国際金融システムの最重要部分は「信用を資金に変える」債券市場であり、株式市場は政治的かつ社会的に華やかで目立つだけの債券市場の下位に位置する存在だ。株式購入資金の大半は債券市場で作られ株価上昇には債券市場の堅調と安定性が必須要件なのだが、リーマン危機以降10年を経てもなおその市場は自立蘇生が出来ておらずQEに頼り続けていた。換言すれば、金融システムの根幹に位置する債券市場を延命させるために崩壊したままの債券市場を蘇生したかのように見せかけて延命させるためにQEが続けられ、その資金が債券市場と株式市場、その他金融市場にとめどなく流入し様々な金融相場をすべて歪曲させており、あらゆる市場で甚しいモラルハザード状態が長く続いていたのだ。

そこに1月23日の武漢封鎖が起こった。
再度言うがこの「大して人を殺さない」コロナ発生以降、多くの分野の企業がそれを引き金とした金融バブルと実体経済の崩壊を自力で乗り越えられずに政府や中央銀行にすがり救済してもらうしかなくなっている。世界経済は様々な分野で暗雲立ち込めている状態で多くの企業が倒産してゆき失業が急増することがほぼ確実だ。
しかし、この大恐慌の状況下で、株式市場では暴落した株価が反騰するという明らかに珍妙な曲線を描いている。

これはなぜなのか。
ここにこれからの市場動向を読み解くカギがある。

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