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EPISODE

つれづれに

或るシナリオ その壱

TREND

2020.6.19
この不自然なコロナによる世界経済停止状態は今後何年も続く。正確に言えば、続くのではなく続けられる。

私は、ある意図を持った集団がこの世界経済停止状態を計画的に長引かせているからだ、と考察している。
それは経済的利益を全界的かつ長期的に拡大させる為に米国単独覇権体制を崩壊させて多極的覇権体制へ転換させる目的を持った集団の動きを指している。つまりコロナによる世界経済の全停止状態を可能な限り長期化させ、その間の全コストを米連銀のQE策で賄わせて米国覇権構造の基底にあるドルの基軸通貨性を崩壊させる事で、いくつかの地域覇権国が存在する多極型覇権体制を実現する、Global systemからMultipolar systemへ覇権体制が転換してゆく激しく熾烈を極めた大きなうねりの最終局面の表層的現象の一つなのだろう、と解釈している。

米国単独覇権体制より多極型覇権システムの方が世界経済の長期的利益が拡大する、と云う思想がある。
1990年以降の米国単独覇権体制下での経済成長とは、実体経済の成長分に比較して金融の債券化により引き起こされたバブル膨張分の方がはるかに大きく、その恩恵はこの30年間で250兆ドルだ。これを年平均で換算すると8兆ドルで現在の全世界GDPの10%相当分となる。この債券金融の底上げ分があたかも世界経済成長だと誤認識されているのだが、世界全体での実体経済成長には新興国やその市場に政治経済力を与える多極化がどうしても必要になってくる。だから私は米国覇権体制から多極型世界システムへ移行させる目的を持つ集団が、現在の単独覇権体制を支える根幹かつ最大の武器である債券システムを崩壊させる為に、この全世界の経済停止状態を意図的に長期化させている、と推測するのだ。

第二次大戦後、米国が起案した世界統治体制はP5(国連安全保障理事国常任理事国)が多極型システムで行い、西側の技術を東側に流して東西両陣営が長期経済成長を実現すると云うものだった。しかしこの案は、産業革命以来「大英帝国を中心とした国際社会」の名の下に世界を支配してきた英国にとって甘受し難いものであったはずだ。それまでの英国は世界的諜報網を駆使し同盟国と敵国という敵対構造を創作して、250年間に渡り世界を事実上一極支配してきた。そこでその洗練された諜報力を用いて、米国内で反共組織を作り上げ反共主義を扇動してP5体制を破壊しようと試みた。これがP5体制の分断と世界の東西冷戦体制へとつながっていった。また米国では二度の大戦でボロ儲けした軍事産業が軍縮で冷や飯を食わされていたのだが、そこに英国が指南役として入り込み東西冷戦構造を利用し再び儲かるようにした。

これが「軍産複合体」の形成過程だ。
軍産は国連体制(P5体制)を無視して米国単独覇権主義を突き進み、英国は米国を表に出し自らは裏でその黒幕として存在し、「隠然」と自国覇権を維持しつつ現在に至っている。

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