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EPISODE

つれづれに

これから その壱

是春秋

2022.1.11
その男は「君は今この世の中をどのように眺めているのかね」と冷たく微笑みながら話し始めた。
以下紹介しよう。

マルクス・レーニン主義者達は、共産主義思想でこの地球上を「全体主義体制」に染め抜くように何世代もかけて育て作られている。世界中の国々のあらゆるイデオロギーを破壊し、単一の価値基準へと変えてゆき世界統一政府を樹立する為に、だ。そしてその「イデオロギーの破壊」は秘密裏に隠然と行われるものではなく、公然かつ合法的に行われている。そこにはミステリーなど存在せず、ましてや映画で観るスパイ活動などともあまり関係がない。J.ボンドやE.ハントに憧れて「スパイによるインテリジェンス活動」を空想し、世界の裏が分かっているかのように錯覚しているバカの気持ちはわからないでもないが、そのようなスパイ活動は、あったとしても工作活動全体のせいぜい15%程度に過ぎない。残る時間、資金、労力の85%は長い時間をかけて行われる公然とした破壊活動に費やされており、それが「イデオロギー破壊」と呼ばれる積極的工作、心理戦なのだ。

この活動は、人々の「現実に対する認識を転換」させる。たとえ周りにどんなに豊富な情報があったとしても、彼らが家族やコミュニティ、そして国などを守る為の正常な判断ができないようにする。これはかなりの時間をかけて進める洗脳工作であり、大きくは4つの段階に分けて行われる。

その第一段階は「モラルを崩壊させること」だ。これには一世代の学生を教育するのに最低必要な15年から20年の年月をかける。イデオロギーにどっぷりと浸かるということは、その国の民族的愛国心や根本的価値観などに邪魔されることなく、マルクス・レーニン主義が少なくとも三世代に渡り若者達の柔軟な脳髄に叩き込まれることを意味している。結果は、「(今の世界を)見ての通りだ」。

1960年代に大学を卒業した落ちこぼれや知識人を気取った中途半端以下のバカどもが、政府、官公庁、企業、メディア、教育機関などの中枢に配置されており、それ以下の「国民という名の家畜」の群れと一蓮托生だ。これらゾンビどもは、ある刺激に対して一定のパターンで思考し反応するように完璧にプログラムされており、真実の情報に触れさせたとしてもその見方や捉え方、行動パターンを変えることはできない。言い方を変えれば、これらのクズで充満した国はすでに隅々まで汚染されているのだ。これら汚染物を排除することは不可能であり、このモラル破壊工作に欠陥はなく元の状態に戻すことはできない。

これら汚染物を社会から排除するには、国益に沿って行動する愛国的かつ常識的な新しい世代を教育する以外にないのだが、それには先ほど説明したように15年から20年かかる。マルクス・レーニン主義政権下ではこのような者達や動きを容赦なく粛清する。従って、社会主義、全体主義が完成した国に、人間らしさや自由の居場所はない。体制批判をする者は「束の間のヒーロー」にすらなれずに直ぐにゴキブリのように踏み潰されて終わる。たとえ誰かが自由と平等などという高貴に響く考えを持っていたとしても、自分の命と引き換えにその考えにカネと敬意を払う者などは皆無だ。

分かったと思うが、完成されたマルクス・レーニン主義下では、真実の情報に触れるかどうかはもう関係がない。モラルを失くした人間には情報の信憑性を判断することが出来ず、そこでは事実や真実など何の意味も持たない。たとえ写真付きの文書で本物の証拠となる情報や真実を雨霰のように浴びせたとしても、無理やり強制収用所に連れて行きそれらを見せたとしても信じることさえ出来ないし、その薄汚いキンタマを蹴り潰されて死ぬ直前になってようやく初めて理解しようとし始める程度だろう。それまでは気づかない。気づく時は死ぬ時だ。
これが「モラルの崩壊」の段階だ。

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